ラモーンズのファン、そしてコレクターは世界中に本当にたくさんいるけれど、その中でも、ファンも認めるひとりが、彼、フロウ・ヘイラーだと思う。ラモーンズ・ミュージアム・ベルリンの店長でラモーンズ・グッズのコレクター。ラモーンズ・ミュージアムはベルリンにあるラモーンズのコレクションに埋め尽くされたミュージアム&カフェ。バンドのオフィシャル・ショップではないけれど、彼のラモーンズ・コレクションは見るに値する貴重なものばかり。最初は小さいアパートの一室でスタートしたそうだけど、今ではまるでNYのCBGBみたいな路面店。ベルリンをツアーした時にCJがサイン会をやったり、週末には地元のバンドのライヴもやっている。


 そんな彼が遂に総数270ページ、重量3kgというカタログを作ってしまった ! このカタログは彼のたくさんのコレクションと文章(ドイツ語)が詰まっている。ドイツ語だから読めないけれど、カタログと呼ぶにはもったいないほど、商品一つ一つの写真も見せ方もきちんとしていて、例えばライヴ盤『It’S ALIVE』のライヴ当日(1977年の大晦日)に、観客全員に配布したGABBA GABBA HEYのミニ看板なども掲載されているし、ジャケットを撮影したカメラマンのオフ・テイクも集めている。コレクターって、ここまでやるのかと驚くばかりだけど、ラモーンズ・ファンなら持っていたい1冊だと思う。早速作った本人フロウにメールであれこれ聞いてみました~。


ーーどうしてこのカタログを作ろうと思ったの?

Flo Hayler(以下フロウ) : 2015年頃に「カタログを作って欲しい」と言われて考え始めたんだよ。カタログは数週間あれば作れるだろうと思っていたんだけど、作り出したら、もっと良いものにしたいという考えが生まれて、結局、3年間を費やすことになったんだ。僕自身、結婚して子供も生まれたので住んでいた家を引っ越したり、ラモーンズ・ミュージアムの引っ越しもあって結構時間がかかってしまったんだ。

ーーカタログは自分ひとりで作ったの?

フロウ : そう、全部自分で作ったよ。文章も書いて、写真やレイアウトも決めた。何人かの友だちに文字の校正やミスを直してもらったけど、自分でやらなかったことはそれくらいかな。初代マネージャーのダニー・フィールズと会って、一緒に彼の写真の正しい記録と記憶を確認する作業もしたよ。

ーーカタログの発売までにかけた時間はどれくらい? 全部で何人の人に取材したの?

フロウ : まずこのカタログに掲載したコレクションは、僕が過去13年間(2005年から2018年まで)で収集し、ラモーンズ・ミュージアムに現在展示してあるコレクション(ラモーンズが活動していた1996年まで)の数々が掲載してあるんだ。だからそれらの一つ一つのコレクションに収集した時の逸話や物語がその時々にあるからそれを書いたんだ。ダニエル・レイ、グレアム・グールドマン、ビル・ラズウェルという何人かのプロデューサーとも話をした。でもそれは今回発売したカタログのためじゃなくて、物をゲットした時にコメントをもらったりしたんだ。ラモーンズ・ミュージアムにあるコレクションに関する情報が欲しくてやりとりしたということ。それを今回カタログにもコメントとして引用したよ。


ーー私はドイツ語が読めないので少し内容について教えて。これはツアー・マネージャー、モンテ・メルニックの書籍『オン・ザ・ロード・オブ・ザ・ラモーンズ』のような回顧録? あなた自身の主観も書いてるの?

フロウ : 文章のベースになっているのは、ラモーンズのバイオグラフィで、そこに僕の主観が含まれた文章も少し書いたよ。それと僕がコレクションをスタートした22年間のキャリアのことも書いてあるんだ。1996年からコレクションをスタートしたけど、ミュージアムに展示してあるもの、今回のカタログに掲載したものはラモーンズが活動していた期間のものでそれぞれのソロ活動のコレクションではないんだ。

ーードイツ語で書いたことには理由があるの?

フロウ : 他の言葉で書くことができないからっていうだけさ。今のところ英語で書く予定もないよ。

ーーコレクターの気持ちとして、最初に『ラモーンズの激情』を撮影した写真家を見つけて、本来ファーストになるべきだった写真をコレクションしたいとは思わなかったの?

フロウ : 良い質問だね。答えはNOだ。僕は最初に撮った写真家を見つけようとは思わなかった。なぜなら、ロベルタ・ベイリーの写真はとても象徴的な写真になったから。ラモーンズは(NYの)そこに居たし居なければならなかった。彼女は僕に当時の写真を掲載させてくれた。それはスーパー・ナイスなことだった。 ダニー・フィールズとジョージ・デュボースの写真も使うことができた。彼らは何年にも渡って知り合うことの出来た写真家たちで、誰もがみんな非常に僕のカタログをサポートしてくれた。

ーーこのカタログに掲載されているすべてのコレクションは、ベルリンのラモーンズ・ミュージアムで見ることが出来るの?

フロウ : イエス。全てベルリンのラモーンズ・ミュージアムに展示されてるよ。


ーーこのカタログの中でフロウが最も好きなコレクションを3つ挙げるとしたら?

フロウ : この質問は僕が好きなコレクションは何かだよね? それはまず…1976年の3つの野球バット。それから1980年のジョニーのジーンズ。そして日本のツアーシャツとフライヤーだよ。

ーーこのカタログは640ページ、写真点数700点、そして重量2.6キロと非常にヘヴィな1冊だけど、前編・後編みたいな2冊の本に分割することは考えなかったの?

フロウ : それについては全く考えなかったよ。だって将来もう1冊作ってしまうかもしれないだろう? (笑)。 僕はコレクターだから、常に新しいアイテムやマーチャンダイズを探しているんだ。このカタログを発売してからも、少なくとも10個の新しいコレクションを手に入れたからね。


ーーなぜこの本の呼び名は書籍じゃなくてカタログなの?

フロウ : なぜなら最も重要な遺産はラモーンズ・ミュージアムにあるし、文章の言葉以上に、700枚以上の写真が掲載されているから、カタログと呼ぶ方がうまくフィットすると思ったんだ。

ーー作っている時、難しかったことは何だった?

フロウ : 執筆だよ。情報はありとあらゆるところから収集したけれど、間違った情報を見分けて、事実だけを真っ直ぐに書くことは結構大変だったよ。


ーーこれまでラモーンズのコレクションに支払った総額はいくら?

フロウ : 全然わからないよ。でも、コレクターを始めた時、ラモーンズは今のように有名じゃなかったから、僕が手に入れたコレクションの大半は安く手に入れられたよ。僕がラモーンズのツアーを自分で見に行って手に入れたポスター、フライヤーも集めたけど、それはほとんど無料だったし。

ーーラモーンズのコレクターになったきっかけは何だったの?

フロウ : 確か…ラモーンズが引退した後にコレクションを開始したと思う。ジョニーは僕にコレクションを勧めてくれた人物だった。ジョニーは「君は俺からいくつかのラモーンズのものを購入するべきだ。俺たちはもう直ぐバンドを終わらせて引退するから」って言ったんだ。それを聞いたのが僕のコレクターの始まり。

ーーすべて自分で作って発売できたことに満足している?

フロウ : 気持ちは特に何も変わっていないかなぁ。満足はしたけど、まだまだだよ。

ーー最後に日本からこのカタログを購入することはできる?

フロウ : もちろん出来るよ。ミュージアムのウェブ・サイト(ramonesmuseum.com)で注文して。カタログは48ユーロだけど、日本への送料は少し重いから高いかもしれないけどね。

ーーラモーンズに関連して、次にやりたい企画は何ですか?

フロウ : わからないなぁ…僕がラモーンズ・ミュージアムを運営することが出来る限りはこれをキープし続ける。少なくともまだ数年以上はやると思うよ。

   

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ラモーンズ・ミュージアム・ベルリン

https://www.ramonesmuseum.com/

Oberbaumstr.5 10997 Berlin, Germany
OPEN 365日 10時~22時

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☆カタログを購入したい会員(限定)で、委託販売を予定しています。
ドイツからの商品本体価格と送料の他に、到着後、東京から発送するための梱包代と送料が追加されます。
2018年10月現在の在庫を確認後、可能かどうかの確認後に入金のお知らせを送ります。
手順が多いけど、どうしても入手したい会員の方は会員番号と名前を書いて、詳細をラモーンズFCJまでお問い合わせください。
件名に「カタログ」と記載してください。

なおこの委託販売の申し込みは11月11日までとさせていただきます。
売り切れの際はご了承ください。mail :
ramonesfcj@yahoo.co.jp

 

メール・インタビュー / yuki kuroyanagi / Ramones Fan Club Japan
アートワーク:ヤーボ・ラモーン (東京ラモーンズ)
協力 : もにゃこ(スタッフ)

テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by (c)yuki kuroyanagi & (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN


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