ロックンロール・バンドの宝庫(宝国?)北欧スウェーデン出身のバックヤード・ベイビーズ。来日時のクラブで一晩中ラモーンズの曲をかけまくっていたり、曲のタイトルがそれっぽかったり、ベーシストのヨハンが年中着ているラモーンズTからも、公言こそしていないがラモーンズ・ファンっぷりをプンプン臭わせているバンド。そんな彼らとついにご対面。インタビュー・ルームにやってきた彼らに「この取材はラモーンズ・ファン・クラブのラモーンズに関するインタビューです」というとニッコリ。Big Thanx to Nicke & Dregen!

●まず最初に、ラモーンズを聴いたのは何歳ぐらいの時ですか?


── ドレゲン:両親が働いてたから学童保育に通っていたんだけど、7〜8歳の頃、13〜14歳の子に、無理やりクラッシュ、セックス・ピストルズ、ラモーンズを聞かされたのが、ラモーンズと初めての出会い。

── ニッケ:ベーシストのヨハンと彼の兄貴に初めて会った頃、彼らの家でパーティーがあったんだけど、そこでラモーンズの『イッツ・アライヴ』を聞いて「速くてカッコいいなぁ」と思ったのが最初。一晩中聞いたよ。他にもアクセプトやアイアン・メイデンも聞いたけど(笑)。その後、素晴らしいパンク・バンドとしてラモーンズを聞くようになったんだ。

●当時、スウェーデンではラモーンズ以外にどんなバンドが流行っていたの?

── ドレゲン:どうだろう、よくわからないなぁ。ラモーンズは年がら年中いるような存在だったけど、スタート当時はスウェーデンではアンダーグランドな扱いだったらしいからね。

── ニッケ:78年は、俺たちはまだ小さかったから、よくわからないなぁ。ビッグなパンク・バンドはいたけど、クラッシュに影響を受けていたみたいだよ。

●ハノイ・ロックスは?

── ドレゲン:彼らはビッグだったね。

●ラモーンズのライヴを観たことはありますか?

── ドレゲン:うん、何回もあるよ。

●スウェーデンでですか?

── ドレゲン:もちろん!

●いつ頃ですか?(ここでカイチョー作成の「ラモーンズ・スウェーデン公演年表」とスウェーデンの地図を出す。)

── ドレゲン:えーと、どのショーだったかな? 何回目のショーか忘れたけど、チケット代を稼ぐためにニッケにズボンを売ったこともあるよ(笑)。とにかく・・・(地図を見ながら)バックヤード・ベイビーズはスウェーデンのこのあたり(地図のネッショーの位置を指す)の出身。スウェーデンの大きいフェスティバルのひとつに“Hultfred Festival”があって、ラモーンズも93年にプレイしたことがあるんだけど・・・(年表を見て)あぁ、ニッケにズボンを売ったのは90年のツアーの時だ(笑)。この日はスポーツ・ホールみたいは場所でプレイしてたっけ。とにかく、フルツフレッドは5,000〜6,000人ぐらいの人口の村なんだけど、そのフェスティバルは25,000〜30,000人は集まる大規模な夏のミュージック・フェスなんだ。

── ニッケ:俺もそこで観たよ。ストックホルムでもね。

── ドレゲン:95年のストックホルムは、NOMADSやイギー・ポップと一緒にプレイしてたと思う。

●地元からストックホルムまで行くのは相当遠いのでは?

── ニッケ:うん、450キロはあるね。車か電車で行くんだ。

── ドレゲン:当時は、まだ車を運転できるような年齢じゃなかった。でも大酒飲みだったよ(笑)。若いころはフーリガンだったんだ(笑)。まぁ、ラモーンズのライヴは最低でも4回は観ているね。スウェーデン以外で観るチャンスはなかったよ。

●ラモーンズと対バンしたことはないですよね?

── ドレゲン:ないけど、光栄なことにジョーイ(「ヨーイ」と発音)とレコーディングしたことはあるよ。『ストックホルム・シンドローム』(2003年リリースのアルバム)の「フレンズ」という曲にゲスト・ヴォーカリストとして参加してくれたんだ。ジョーイは、俺たちがNYでプレイする時はほとんど観に来てくれたよ。最初に観てくれたのは97年だったかな。その曲では、マイケル・モンロー(ハノイ・ロックス)、タイラ(ドッグス・ダムール)、ニーナ・パーション(カーディガンズ)など、他にもたくさんのミュージシャンがゲストとして歌ってくれてる。

●「ワン・ミニット・サイレンス・フォー・ジョーイ」(2004年シングル『フレンズ』に収録)という曲は?

── ドレゲン:『ストックホルム・シンドローム』のレコーディングが終わってツアーに出ている間にジョーイが亡くなって、その後アルバムの仕上げに取り掛かったんだけど、同時にシングルをリリースする話もあって、ちょうど彼のためのトラックが出来あがっていたから、シングル『フレンズ』にその曲を入れたんだ。あと、マーキーとプレイしたこともあるよ。えっと、いつだっけ?

── ニッケ:3年ぐらい前かな。

●スウェーデンで?

── ドレゲン:そう、ストックホルムの近くの町で。俺たちがプレイする会場で、翌日にマーキー・ラモーン・バンドがプレイすることになってて、既に町に入ってたマーキーとホテルまで同じだった。彼はアルバム(『ストックホルム・シンドローム』)のことを知ってて、電話してきたんだ。「マーキー・ラモーンだけど」って言われて「はい、こちらはサンタクロースです」って(笑)。「何か一緒に演ろうよ」って話になり、その日の夜、アンコールでマーキーにドラムを叩いてもらい、一緒に「ペット・セメタリー」をプレイした。俺の人生で最高に面白い瞬間だったね。リハーサルで「本番では、どう始める?」って聞いたら、「じゃあ、俺の1−2−3−4ってカウントで入るのはどうだ?」ってマーキーに言われて、「・・・うん、それはいいアイディアだ」って(笑)。

●(笑)。ラモーンズのドキュメンタリー映画『エンド・オブ・ザ・センチュリー』を観たことはありますか?どう思いましたか?

── ドレゲン:観たよ。いい映画だったね。

●ラモーンズのインサイド・ストーリーで、「KKK」という曲の逸話があるんですけど、あんな風に、もし他のメンバーに自分の悪口を曲にされてもプレイできますか?

── ドレゲン:俺たちはラモーンズみたいなバンドじゃないからね。ジョーイは左翼でジョニーは真逆・・・昔はそんな裏話なんて全く知らなかった。ラモーンズはとにかく特別なバンドで、でも曲の中でメンバーを中傷して、それをプレイし続けるなんて、俺には理解できない。

── ニッケ:フツーに考えて、とにかく奇妙な話だよね。ジョニーとジョーイがお互い憎しみ合ってるのに一緒にプレイし続けているなんて変な話だよね。再結成するバンドでプライベートは全く関わらないなんて人たちはいるけど、エディ・ヴァン・ヘイレンとデイヴ・リー・ロスなんかも、お金のために一緒に演ってるだけで、ステージから降りるときは別々の所からだったりする。ラモーンズは15年近くもそんな状態でツアーしてきたなんて、信じられない。俺には理解できないな。

── ドレゲン:俺たちもノーマルじゃないけど、ラモーンズはとにかく普通の人たちじゃなかったんだと思うよ。お互い嫌い合ってるというのも、自分たちがここに座って説明するのとちょっと違うものがあるんじゃないかな。きっと、彼らはそれだけユニークな存在なんだよ。

●ジョニー・ラモーンに、なぜ「KKK」をプレイし続けることができるのか?と聞いた時、「ファンが選ぶベスト・ソングのひとつだから演るんだ」と答えていましたが、ファンの為だったら、個人的にどうであろうと演るんだなと思いました。

── ドレゲン:バックヤード・ベイビースに関して言わせてもらえば、俺たちはバンドで、ファンがどう思おうが、自分たちが良いと思うものをプレイする。ファンが好きでも俺たちが嫌いなら、演らない。まずは自分たちが楽しくないと、だろ。ファンの存在なしでは成立しない関係ではあるけど、楽しめないで何かを伝えることなんて無理だよ。

●2002年頃にホワイト・ジャズからリリースされた『ソング・ラモーンズ・ザ・セイム』というコンビレーション・アルバムですが、ここで「ペット・セメタリー」を選んだのはなぜですか?

── ニッケ:そのCDが出た後、あんまり何度も聞いた記憶はないけど、いい作品がたくさん入っているよね。

── ドレゲン:「ペット・セメタリー」に決めたのは、他に誰もカバーしてるバンドがいなかったから。

── ニッケ:そうそう、ポップだし・・・まぁ、ラモーンズの曲はどれもポップだけど、演奏してみて俺たちに合ってたというか、凄い良く聞こえたんだ。あと裏事情を話すと、腕を骨折してしまって、その曲の俺のギター・パートはローディーが代わりに弾いてる。俺は歌と、おもちゃのピアノを弾いただけなんだ。個人的に大好きな曲だから選んだけど、確かに、あの曲をカバーするバンドは他にいないよね。「ペット・セメタリー」にしたんだ!凄いかっこいい!ってよく言われるよ。

── ドレゲン:それから、ラモーンズ以外のバンドが「ブリッツクリーグ・ボップ」を演ってはいけないと思ってる。いろんなバンドが挑戦するけど本物には敵わない。かっこ悪いだけだよ。

── ニッケ:ラモーンズの曲はシンプルだけど、完璧にカバーすることなんて誰にも出来ない。別バージョンで演奏しても、大体失敗してるよね。ロブ・ゾンビも演ってたけどね・・・。何が言いたいかと言うと、パンク・バンドだろうが、ラモーンズをカバーしても何となくそれっぽく聞こえるだけで、ラモーンズではない。カバーできるバンドなんて数えるぐらいしかいないだろうね。オリジナルをそっくりコピーするのなんて無理だから、違うバージョンで演ってみたらハード・ロック感が出て、「ペット・セメタリー」にして良かったと思ってる。自分でも気に入ってるよ。

●この「ペット・セメタリー」は、ラモーンズとバックヤード・ベイビーズの両方のファンからの評判がいいですよ。

── ニッケ:それは良かった。

●「ピープル・ライク・ピープル・ライク・ピープル・ライク・アス」という曲は、ラモーンズに捧げた曲として有名ですが、この曲を書こうと思ったきっかけは?

── ドレゲン:ノー、それはラモーンズに捧げた曲ではないよ。俺たちは誰にも何も捧げたことがない。

●あれ?(笑)そうなの ? 日本ではそうゆうことになっているけど・・・?

── ドレゲン:ラモーンズっぽく聞こえたとしても、俺たちラモーンズが大好きだから、影響を受けて書いた曲ではある。でも特に彼らのために書いた曲じゃないよ。自分たちの中にラモーンズの存在があることを前提に作った曲と言えるかな。

── ニッケ:他の曲でも、ジョーイのために書かれた曲って思われているのがあるみたいだけど、パンクでアップテンポでチャイニーズ・チーク・ソングでポップで、影響を受けてはいるけど違う。

●ラモーンズ映画『ロックンロール・ハイスクール』の主人公みたいに、ラモーンズに曲を提供するようなことになったら、自分たちのどの曲を選びますか?

── ドレゲン:そんなことになったら、彼らのために新しく書き下ろさないといけないな(笑)。ラモーンズにあげる曲は今のところないよ(笑)。

●バックヤード・ベイビーズの曲を聴いていると、ブリッツクリーグ何とか、トゥ・タフ・トゥー何とかとか、ラモーンズを思わせるような曲のタイトルが多いけど、それはそれで面白いので、個人的には続けてほしいんですけど。

── ニッケ:遊び心でやってるけど、続けた方がいいかい?

── ドレゲン:OK。クール。

── ニッケ:今まで曲作りをする中で、ところどころでトリビュートっぽい部分を入れるのが自分たちのやり方なんだけど、自分たちのヒーローに挨拶するノリでやってるから、これからも続けていくと思うよ。

●メンバーと接触したことはあるの?ラモーンズはもう存在しないので、ラモーンズ・スタイルを継承するバンドの曲とか、タイトルだけでなく、いろんな遊びはファンにとっては、楽しいことだと思います。

── ニッケ:そうだね。この取材の前のインタビューでAC/DCの話が出たんだけど、彼らも最期のツアーになるかも知れないと言って、いずれローリング・ストーンズやKISSもいなくなってしまうだろう。ラモーンズはもういないバンドだけど、最期のツアーを観ることができたし、良かったと思ってる。バックヤード・ベイビーズは、これから10年20年と続いていきたいと思ってる。

●ずばり、ラモーンズの魅力って何でしょう?スタイル、革ジャン、曲・・・どれが一番クールでしょう?

── ニッケ:やっぱり曲が一番かな。革ジャンを着たり、スニーカーにタイトなジーンズで凄いかっこよかったけど・・・

── ドレゲン:ある意味、アンチ・ヒーローだね。

── ニッケ:うん、ある意味ね。かっこ悪いんだけど、それがかっこいいみたいな。

── ドレゲン:若い頃は、ラモーンズって何者だ?って見ていたこともあるけど、ロックでもなくパンクでもなく、でも、それが自分たちのかっこ良さなんだなってところで見てたところもある。

●自分をラモーンズのメンバーに例えると誰ですか?

── ニッケ:誰でもない(笑)。メンバーに会うチャンスがあって、凄い優しくていい人たちだったけど・・・わからない。

── ドレゲン:ラモーンズは不思議な連中だから、自分たちと比較するのは難しい。ユニーク過ぎて、自分たちとは違うよ。

●最後に、好きなラモーンズのアルバムと曲を教えてください。

── ドレゲン:『エンド・オブ・ザ・センチュリー』、それから「アイ・ドント・ウォント・ユー」かな。

── ニッケ:正直に言って、思いつかない。どの曲がどのアルバムに入ってるか覚えているわけじゃないし。俺にとって、ラモーンズ・ソングの全てがビッグ・コンビレーションでしかない(笑)。でも、強いて言えば、「ボンゾ・ゴーズ・トゥ・ビットバーグ」は大好きだな。どのアルバムに入っているっけ?

●『アニマル・ボーイ』ですね。

── ニッケ:そうだ、そうだ。とにかくいい曲がたくさんあり過ぎる。あとは後期のアルバムで・・・「ポイズン・ハート」が入ってる・・・何だっけ?

── ドレゲン:『ブレイン・ドレイン』?

── ニッケ:違う。

●『モンド・ビザーロ』です。

── ニッケ:そうそう! あのアルバムはいいね。

●CJの時代ですね。

── ニッケ:うん。ディー・ディーの後釜として、元気な感じで歌ってる「メイキング・モンスター・フォー・マイ・フレンド」が特にすき。クール・サウンド。

●お二人とも何歳か聞いてもいいですか?

── 二人とも:嫌だね (笑) 。

── ニッケ:19歳。知ってるくせに(笑)。

── ドレゲン:俺たち全員1973年生まれ。

── ニッケ:だから19歳さ(笑)。

●じゃあ、あと30年はプレイできますね(笑)。今後の活動も楽しみにしてます。ありがとうございました!

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NEW Album『バックヤード・ベイビーズ』
(2008/08/20 Release / VICP-64386)
バックヤード・ベイビーズ オフィシャルサイト

インタビュー / FCスタッフ:カイチョー・ユキ& atsuko katagiri
取材場所 / 東京・青山にて(2008年11月)
写真 / FCスタッフ(取材中の写真)、yuki kuroyanagi(ライブ&アーティスト写真)
協力 / 小森 誠(Your landscape)


テキスト及び写真 : 畔柳ユキ / Ramones Fan Club Japan (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN
ALL TEXT & Photos by (c)yuki kuroyanagi & (c)RAMONES FAN CLUB JAPAN

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